任天堂株主総会2012年

任天堂株主総会2012年
6月28日は任天堂の株主総会です。
場所はいつものように京都の任天堂本店ですね。京都府京都市南区上鳥羽鉾立町11-1です。7階の会議室で行われます。
開始の段階の参加者は480人くらい。去年は400人だったので、 たぶん増えていると思われる。WiiUの試遊が出来るのでは、という期待をしていた人もいたのではないかと。なお3月31日の段階での株主数は74325名で、去年の70594名から3731名増加している。
では、詳細を取り上げていきましょう。
10時スタートで、途中、口頭とスライドで業績に関する説明を行い、10時18分に質疑応答となった。
では、いつも通り質問者役は私がやります。
回答者役は私で。ほとんどが社長の岩田聡が回答している。スペインで宮本茂が賞をもらったという話の部分に関しては、少し宮本茂も話をしている。その部分のみ、鍵カッコで誰が話したか明示しておく。
一人目の質問です。業界全体のクリエイターの育成はどうなっているのか。他社がWiiやWiiUの機能を活かせていないように感じる。
Wiiに関しては任天堂の内部で作られたソフトと社外とで使いこなしが違うのではとの指摘を受けたのは確か。一概には言えないが、それぞれのクリエイターによって得意な分野の持ち味が異なる。新しい構造で作るのが得意な人と、美しい映像や重厚なストーリーを作ることに強みを持つ作り手もいる。Wiiの特性との相性もあった。

任天堂単独で全てのお客様のニーズに応えられるとは思っていない。たくさんの作り手にハードの魅力を活かしてソフトを作ってもらう環境を作る。改善を図ろうとした。

新しいプラットフォームが出来る時に、情報をいち早くお伝えする信頼関係を築き、社内のチームと同時期に開発が出来るようにしようと。社外との協力関係は以前より増えた。発売時には任天堂と他社と磨き込みに差があると言われやすかったが、ニンテンドー3DSでは少し改善し、WiiUではさらに改善するよう取り組んでいる。

ゲームセミナーをやっている。一旦中断していたが来年度から再開するが、学生に9ヶ月くらい任天堂の神田にあるオフィスに通ってもらい、任天堂の若手社員と一緒に物づくりの体験をする。過去にはDSソフトをDL配信によって楽しんでもらうということをやっている。

任天堂にその後入社し、任天堂の中で活躍する人も出ているし、全員が来ているわけではないので、他のメーカーに入っている人もいるので、そういった意味でも出来ていると思っている。

他社さんとの取り組みの構造を変えつつある。大乱闘スマッシュブラザーズの最新作はバンダイナムコゲームスさん、バンダイナムコスタジオさんと一緒に作ることにした。彼らの持ち味を活かしつつ、我々のゲームのテーマ、ソフトウェアの仕上げの総合力を共に集結させてソフトを作っていく。大規模なソフトを作っても社内の人がそれにシフトして他のソフトが作れないということが無くなる。

こういう経験を通じ、お互いの総合力が上がっていく。

育成ではなく、どうやったら共に成長できるか、お互いの持ち味を相互に活かして長所を出し合い短所を埋めるかが大切。
二人目の質問です。WiiUのオンラインコストの増大はどう補うのか月額か、パッケージソフトに上乗せか。
ニンテンドーネットワークにWiiUをつなぎ、ニンテンドー3DSも一部分つながっている。新たしいプラットフォームを作るなら、それもニンテンドーネットワークに繋げていく。

任天堂には多様なお客がいるので、必ずしも有料会員型のサービスが望ましいとは言えない。濃密なサービスを必ず無料で提供しますとお約束も出来ないが。普通にネットワークのサービスと向き合ってもらう中で有料にしようという考えはない。

最終的にたとえネットワークサービスが無料で提供されたとしても、トータルで任天堂の収益に寄与するという形を目指すのが筋だと思っている。ネットワークサービスを通じて他の人とやり取りが出来たり、他の人が面白がっていることが可視化されたり、こんなものがあるんだと分かったり。知らなかったから無かったと一緒ということはゲームでもあり。Miiverseはお客様のゲームの共感を如何に増幅してお伝えするかをテーマにしている。

直接収益は得られないまでも稼働率が高い状態が維持され、新しいソフトが出た時に売れやすくなる。年に2本遊ばれていた人が3本4本遊んでみようと。1台辺りの売れ方が変わり、収益に貢献できるように考えている。そのためのサービスとして経済的な面で運営していく。

直接的に会費をもらうことは考えていないが、ソフトウェアが売れる形にすることで投資をしても見合う成果が出るよう準備している。
三人目の質問です。ここに来るまで迷った。お土産の充実はいいので、京都から送迎バスを出してもらいたい。交通の便が悪い。
今後の運営の参考にさせてもらう。
四人目の質問です。WiiUのソーシャルコミュニティについて、ファミリー向けが多いが、モラルの問題はどうなるのか。ネガティブな意見への対応。
WiiUにはネットワークの機能を通じてお客様同士がゲームの感想や意見や達成感を共有できるMiiverseを提供する。

ネットワークの世界では割合としてはごく一部だが大変行儀の悪い方がいる。特に匿名性の世界では自分の素性はばれないと考えの方が、社会常識許されない態度や発言をすることがあり、その結果、人が傷ついたり不愉快な思いをすることがある。

運用をする上で如何にエネルギーを注ぐかが大事。場を作って好きにコメントを書いてくださいで運用できるとは思っていない。

行儀の悪い方は一定割合出るため、その方の発言を削除したり、お子さんたちがそういったものに触れないように守る仕組みを作ったり、いくつかの方法を考えている。

あまりにも早く具体的に述べると、どう掻い潜って任天堂を困らせてやろうかという方も出かねないのが現実なので、詳細は述べないが、相当なパワーとコストをかけてやっていく。

インターネット上でネガティブな意見を書き込んで事実と違うのに商品を貶めるような行為、ネガティブキャンペーンやネガキャンと呼ばれているが、そういったことを行われる。悪質なデマであり、営業妨害だったりする。


一方で、お客様が遊んで満足できなかったことと、ネガキャンで書かれたことの区別も大変難しい。

もし、任天堂がネガティブな意見があったら即座に削除するとなると、言論弾圧か、ということになりかねない。ポジティブなコメントも誰も信じられなくなる。本当にネガティブな事をされる方は一部の方なので、母数がアクティブな方にすることで圧倒的多数の感想の前には少数のそういった人の意見は見えなくなる。この意見は不適切だと思うと印をつけると、信頼ならないものとなり、お客様への影響が下がってくる。

性善説を見ることはしていないが、集合知の可能性で、面白い魅力的な世界を作れると考えている。
五人目の質問です。役員に女性がいないが、社内での女性の人材育成はどうなっているのか。
女性社員はたくさんおり、管理職やマネージャーとして活躍している人もいる。役員として選ぶ時にはこの1年最善の体制をとして選んでいる。たまたま女性は入らなかった。今後選ぶつもりが無いとか役員になれないということは思っていない。

任天堂のプラットフォームは珍しく男性と女性の客の数がほぼ同じくらい。他社さんのプラットフォームだと7割と3割とか、75%と25%という形になるが。

DSやWiiの拡大期に女性のお客様が非常に増えた。開発をする上でも物を売る上でも運営でも女性の意見を上手に反映しないと女性が受け入れていただける商品は出来ないと思っている。役員候補にはいないが、女性が活躍できない土壌を反映しているわけではない。
六人目の質問です。ニンテンドー3DSにLLが投入されるが、他にも新たに付加価値を高めた本体を出す予定があるのかどうか。
付加価値をつけると、その分製造コストも上昇する。お客様に受け入れてもらえるかという問題がある。

人間は選択肢がある程度あるのはうれしいが、増えすぎると多すぎて選べないという状態になる。この点も踏まえて考える必要がある。

現時点で付加価値をつけて次なるモデルを作る計画はない。

長いレンジの将来となるとわからないが。

一つのモデルを大量に製造するので、製造コストを抑え込めるということもある。大量生産で量産効果を効くかということも重要。

3DSに関しては画面の大きさをもっとなんとかならないかという意見が多かったことと、DSiの時に大画面を作ったところ、評価いただけたという手ごたえもあり、市場も拡大したので、今回バリエーションモデルを展開した。
七人目の質問です。ファイアーエムブレム覚醒スペシャルパックについて、欲しい人が買えない状態であったが、受注生産や抽選予約などは出来なかったのか。
サイトに訪れたにも関わらず購入いただけなかった方がいたことに対して会社として申し訳なく思っています。

当初、どの程度の需要があるのか完全な読み違いがあった。これくらいであろうと予想して製造手配をして準備をして、数量限定品として販売させていただいた。地域によって差が出ないようにオンライン販売を採用した。

初回販売に当社予想を遥かに超えるアクセスをいただいたために、サーバーが混雑によりまともに動かず、購入画面に入れない、カートに入れたのに決済が出来ない事態が発生した。

お客様の声をいただき、今からでも予約販売や抽選販売への変更が出来ないのか、こんなにファイアーエムブレムが好きなのに買えない、オークションで売っている人がいる、転売している人をゆるして会社はなんだ、というお叱りもいただいた。

期日や数量を一旦限定していた商品を後から販売方法を変更できるのかという検討をした。弁護士に相談した結果、後から追加で変えてしまうと、景品表示法の法律に触れる可能性がある、というコメントをもらった。お客様のご期待にこたえるということはもちろんだが、日本の社会で向き合う企業としてコンプライアンスも重いもの。お客様の要望にこたえたいものの、結果的に変更できなかったという事情があった。

販売の時点で購入をしていただけるかの予測する力の問題。今後は商品の特性や需要に応じて販売方法を正しく判断できるようにしていく。
八人目の質問です。任天堂を愛している。中国への進出について、問題点について。子供も大人もハラハラドキドキできる夢いっぱいのソフトをどんどん作ってもらいたい。例えば、無理しなくてもいいんですよ、岩田社長とゲームを作るクリエイターと共に、サハラ砂漠、ラクダの背中に乗って命がけで制覇していただく、あるいは宮本専務、この間NHKに出ておられてすごい賞を受けられたと紹介されていたが、さらにパワーアップするために、宮本専務とクリエイターで組んでいただき、南米のアマゾン川へ繰り出していただき、命がけで、アマゾン側は向こう側の岸が見えないそうですが、その川にはピラニアやアナコンダやワニがいっぱいいる。そういったところで命がけの体験、経験を積んでいただき、大人も子供もハラハラドキドキするようなソフトを作っていただきたいなと思いました。
中国には現地にIQ社という会社を持っている。IQブランドの製品として2005年にニンテンドーDSを、2006年にニンテンドーDS Lite、2009年12月にはニンテンドーDSiの販売をしている。今後も同様にIQ社が販売するという予定はしている。

中国は日本で発言した内容が一旦英語に翻訳され、それが中国語に翻訳されて広まるという形で情報が伝わりやすい。

過去になんどか経験しているが、私が意図していない文脈と意味づけが変わった状態で中国本土で私の発言が広まったことがある。それが大変現地の方にとって不快な内容になっていた。どうも中国でビジネスをする上では、さまざまな発表は現地でした方が良いと学んだ。

他のビジネスをされている方を拝見しても、総論では話しているが、個別では現地で発信されているところが多いように思う。具体的な内容はこの場ではご容赦願いたい。

ビジネスの難しさは、ビデオゲーム機は世界中どこで発売されても、すぐに流通する。他の地域で誰かがいち早く欲しい人のために販売されるようになっている。

現地でも売られているが、売られているゲーム機には正規の輸入ではなく、密輸形式で輸入され、日本で言う消費税である増値税を払わないで売っている。

同じ値段で売っているはずなのに、増値税分だけ差額が生じ、どうやって付加価値をつけて売るかが課題。

結果を出したい。結果が出るタイミングまでお待ちいただきたい。

夢あふれる提案、ありがとうございます。

宮本が賞をもらった話だが、補足させてください。

スペインのノーベル賞と呼ばれる賞の受賞者の一人に選ばれたことが決定した。受賞そのものは10月末にある。

部門があり、コミュニケーション&ヒューマニズム賞で、コメントではあらゆる年齢層が民族や考え方の違いを越えて楽しめるコミュニケーションの形態を生みだした、とあります。

宮本もコメントを発表しているが、ゲームは一人で作れるものではない。個人的にお受けするのは宮本も恐縮しており、能動的に言わないでね、と言われている。

ゲームの社会重要性の向上という目標にとって重要な一歩だと思っている。任天堂がしたいことをその通り認めてもらい、権威ある賞をいただけたことは同僚の一人として誇らしく思っている。
九人目の質問です。株価対策をどう考えるか。会社の資産が減っているのではないか。
会社の資産が減っているかとは別の問題で、会社がどれだけ利益を生み出してもらえるのか投資をしている方が不安に思っている。1962年の上場以来初の最終赤字ですし、第73期に業績回復を見込んでいるが、営業利益年1000億円をコンスタントに出してきた会社のため、任天堂らしい利益水準に至らない。今の会社目標でさえ難しいのでは、と考えている方がいる。

ニンテンドー3DSは年明け以降週間販売台数の平均が8万3千台になるが、これは日本で売れている全部のゲームハードの約55%がニンテンドー3DSということなので、昨年末以降勢いがついてからは日本のゲーム市場は3DSを中心に回っている。当初目指していたシナリオ通り。

アメリカヨーロッパでは足元が良くない。昨年末は日本と同じようになったが、年明け以降に落ちてしまい、全体のゲームハードの中で3DSの占める割合は2割くらい。勢いを出せていない。

今期の業績は回復しないのではないか、見通しよりも時間がかかるのではないかと言われている。懸念を早期に払しょくできるようにするのが当面の課題。

アメリカは3つの据え置き型が圧倒的。ゲームと言えばテレビゲーム機。日本ではゲームと言えばテレビゲームと答える方が半分程度。携帯性のあるゲーム機に魅力を感じてもらっている。

海外ではソーシャルゲームのことは訊かれない。国内独自の現象。E3でも誰からも訊かれなかった。それくらい日本と海外の認識が違うこともお知らせしておきます。

WiiUはWiiのように革新的な商品ではないと言われている。発表直後のWiiは同じような状況だった。新しいものが出てくると、理解してもらえないところから始まる。ネガティブな部分が先に出て、後から実感共に変わっていく。Wiiの残像とWiiUは戦わなければいけないという側面もあるということをご理解ください。

報道で発売日や価格の発表を見送ったとあるが、これはE3では発売日も価格も言いませんよと言っていましたし、WiiやニンテンドーDSもニンテンドー3DSもE3で価格や発売日を言ったことがない。そうであるのに、自信が無いから発売日や価格の発表を見送ったという記事が出た。そういったことでも記事がお客様に心理的なものを与え、株価に影響してしまっているということがある。

ソフトの展開はE3では海外市場向けが目立ち、発売日と発売日近辺の発表しかしていないため、来年何が遊べるのかをお知らせできていない。秋にコミュニケーションしていき、値段と発売日を発表し、その時に買いだと言ってもらえるように勢いをつけていこうと考えている。

直接質問を受けていないが、本日総会終了後にニンテンドー3DS LLの実際の機会をご覧いただく準備をしている。WiiUを見せてもらえないのかという期待もあると思うが、検討したが、参加される人数と一人当たりの体験の時間、大きなテレビと試遊スペースを必要とするため、携帯ゲーム機のようにコンパクトに短い時間に見てもらうことが運用上出来ないため、出来ないという結論になった。

1階のロビーにモックアップモデルを起き、E3で発表した映像を用意した。日本のメディアの方にもパブリックにはやっていない。初めてのことなのでご期待に添えない点もあるが、最後に見ていただけたらと思います。
十人目の質問です。召集令状の
令状ではないです。召集ご通知です。
取締役9人選任があるが、9名のうち8名が10年以上取締役をやっている。マンネリではないのか、どうお考えか。もう一つ...
たくさんの方が手を挙げていますので、一問でよろしいでしょうか。
では今の質問を取り消して、代表取締役が5人もいるにもかかわらず、所有する株式が100株とかもっていないが、経営者は任天堂の株式に興味がないのかお聞きしたい。
現在の経営体制が、株式が持っているかどうか出来るのではなく、能力発揮ができるのかどうかにかかっていると思っています。現状でこの9名が1年間任天堂を率いていくうえでふさわしいと確信し、提案している。持ち株の多い少ないで、経営に対する真剣さが違うということもない。
十一人目の質問です。宮本専務にご回答いただきたい。現在の開発への関わり方は、コアなアイディアを出す立場なのか、もう60くらいになられていると思うが、宮本さんが居なくなったら任天堂がどうなってしまうのか心配なので、どういった取り組みをしていくのか。
岩田「宮本は今度誕生日がくると60歳になります。」

宮本「久しぶりにしゃべったような気がする。自覚をしており、60歳を迎え、毎年年を取っていくので将来について考え始めている。社内的には準備をしている。昨年そういうトライをしていると海外のメディアでしたら、引退報道というのが出て、うかつにしゃべれないなと。」

岩田「部内でいつも俺はもうすぐ引退するんだと言っている、と。そうしないと、自分がいない時のことを考えないので、発破をかけていると言ったら、宮本茂引退報道となったということです。」

宮本「マリオカートや新しいスーパーマリオに一生懸命取り組んでいるかというと、どんどん新しい人に主軸を移し、一緒に考えるという形にしている。最近はルーブル美術館の音声ガイド、見学ガイド...」

岩田「マルチメディアガイド」

宮本「マルチメディアガイド。大きなお金は生んでいないが、将来のビジネスの中で核になりうる可能性がある。細かい任天堂が持てる可能性に当たっている。すぐに経営方針に出てくるとか物に出るとかではないので、ここでの発言も注意して発言するべきで、みなさんにも人にお伝えする時に気をつけていただきたい。大きな将来に向けての次のプロジェクトが大事。次のプロジェクトを落とすべきという判断を私がしている。いずれ現場が直接出来るようにということで、明日から来ないかもしれないよ、と言いながら現場と一緒に仕事をしています。楽しく開発をしており、まだまだ現役で出し続けていく。」

岩田「宮本はまだまだ現役で物を作ると思うが、世代交代の準備をしていないということではない。ここに居る人間は年を取り、いつか今の能力を発揮できなくなり。後身が居なければ任天堂が力を落とすことになるので、そのための準備はしていますと申し上げておきます。」
十二人目の質問です。他のメーカーのマルチ展開から外されているが、何か工夫はあるのか。
Wiiが直近2年、ソフトメーカーのソフトが減ったり、任天堂もニンテンドー3DSやWiiUの準備があったため、自社も減ってしまい、勢いを維持できていない。WiiUのMiiverseのような仕組みもなかった。新製品が盛り上がって終わって静かになってしまうという状況になりやすかった。

WiiUからマルチ展開が外されるかは、未来永劫は分からないが、Wiiであったグラフィックの違いがあるということはない。もちろん、他社がより新しい世代の機会を出した時に性能は上がるかもしれないが、Wiiの時に感じられた他社さんとの機械との差が出るとは必ずしも思っていない。

グラフィックスによる差別化できる要素は少なくなっていく。わずかな違いがすごく敏感に感じるお客様もいるため、WiiUの性能を引き出す努力をしていてついていき、時代遅れにならないようにしていく。

他社さんとのマシンの性能競争だけでなく、いろいろな使い方の提案をすることで、いろいろな方がWiiUは便利だ、あったら使ってもらうという形にして長い間使ってもらうようにする。
十三人目の質問です。任天堂を愛しているという人がいたが、私はさらに尊敬もしている。株も何百万もする時に株主になった。任天堂は本来の力を出し切っていない。任天堂が良くなるプランもあるが、今日とは言わないが、明日、10分間、岩田社長か宮本専務に聴いていただきたい。
具体的な提案を受けるために役員がまとめて時間を取るのは難しいが、事務局のものがいるので、彼らに申し伝えていただければ、報告を受けるようにする。
十四人目の質問です。WiiUはニンテンドーDSとの互換性を持たせるのか、バーチャルコンソールを考えているのか。
今日の時点では申し上げられない。ニーズと受け止め、社内で検討したい。
十五人目の質問です。コンピュータ以外の、アナログへのゲーム人口を増やすための取り組みがあるのかどうか。
任天堂が世界でビジネスをすることを考えた時に、コンピュータには都合のよい特性がある。ハードが普及すると、ソフトウェアは量産が容易で、たくさんの方に一度に届けることができる。それらを有機的につなぐことも出来るメリットがある。アナログを検討に入れるつもりがないというつもりもないし、創業時からのビジネスとしてトランプや花札の製造もしている。今後も続けていくつもりである。
十六人目の質問です。ダウンロード販売だと予約特典などがもらえないが、対策は無いのか。
スタート時点で特典と一緒にするものは用意していない。ダウンロード販売のメリットにお店の在庫のリスクが無くなる。POSAというシステムを使うと事実上在庫を持たずに販売できる。

私どもがデジタル販売をする事に対し、お客様がどう行動されるか見極めて動きたいという関係者も多い。まず、「ニュースーパーマリオブラザーズ」や「鬼トレ」の全体の販売量のどれくらいがデジタルで売れましたよ、と世の中にお示しし、皆さんがイメージする市場のボリュームが分かり、ある程度在庫リスクを取ってでも初回特典型の販売をしようと考えていただけるような流れを作りたい。現時点では具体的なことは申し上げられない。

ダウンロード販売は初回特典型と相性の悪い要素もあるため、上手なマネジメントが必要になる。

長い将来を考えると、ダウンロード販売で商品を買って、特典物は後から自宅に届いてもよいので、そういうビジネスもあるかもしれない。今後研究していきたい。
十七人目の質問です。Wiiの「おいでよ どうぶつの森」で海外と通信して楽しんでいたら、改造データが入ってきて残念なことになり止めてしまった。改造データへの対応をどうするのか。
当社の製品で遊んでいただきながら不愉快な思いをしたということで、遺憾に思いますし、それを防げなかった我々の能力不足もあり、お詫びいたします。

セキュリティ機能が備わっているが、当初は機能していたが、セキュリティが一度破られてしまい、穴を塞いでもさらに穴が開けられるいたちごっこ状態になった。そのため、改造データが防止できない状態になってしまった。

WiiUや3DSはビジネスをする上でも、安心して楽しんでもらう上でも必要なのがセキュリティ。3DSに関してはニンテンドーDSの互換モードではニンテンドーDSのソフトが動かなければいけないので、部分的に海賊行為が出来ているものもあるが、3DSに関してはセキュリティは発売から堅牢である。何重化の防火扉で、手前側が空きかけていてもそんなに短いサイクルで突破されることはないのではと思っている。人間が作るものなので完璧はないが。

万が一の場合でも対応できるような準備をしている。DSやWiiの教訓から学んだ結果、反映された結果とお考えください。
十八人目の質問です。役員賞与について、社員にも賞与が出るが、額が妥当かどうか。
役員賞与は一切頂かない。会社を有るべき方向に導き、来年報告する時に回復しましたと言えるよう努力していく。

固定報酬分は昨年7月にニンテンドー3DS大幅な値下げを発表した際、業績も下方修正したので、固定報酬分も社長が50%、他の代表取締役が30%、その他の取締役が20%報酬カットしたと申し上げた。1年前と比べると総額で9900万円減額の3億200万円。固定報酬の削減は8月から行った。12ヶ月のうち、8ヶ月が対象となった。今期も報酬カットを継続することとなったので、この4月からの年度は通年が削減対象となる。

1億円以上の報酬を受け取っている役員はおりません。去年対象者であった岩田の昨年報酬額は4500万円となっていた。

従業員のボーナスは従業員の生活もありますし、かつて非常に業績が良くてたくさん配当を支払っていた時にも劇的に賞与を上げることはしておりません。

ゲームビジネスは浮き沈みがある。浮き沈みがある以上、極端な影響を受けた待遇で安心して働けないとなれば、世の中の常識と外れた新しい、後に革新的だったと言われるものを作っていくためには、目先の業績に過剰には影響を受けずにした方が良いとの判断。

ただ、さすがにこれだけ厳しい、通期赤字ですから、今までの既得権ということはないだろう、ということでそれなりの削減はした。

身内に甘く、お手盛りをしているということはないとご理解いただきたい。
十九人目の質問です。任天堂のビジネスモデルが時代遅れになっていないか。成長戦略を示してもらいたい。発表されたら株価がいっぺんに上がります。
成長戦略を明言しただけで株価が上がるはずだというのは、そういう見方もあるかもしれないし、現状の株価にご不満があることもとてもよくわかる。私も5600株の株主なので良くわかりますが、しかし、我々のこれまでやってきたこと、ニンテンドーDSをこのように売ります、ゲーム人口を上げます、その通りにやってきました。その言った時に株価は上がったでしょうか。上がっていません。DSが売れてから上がりました。

Wiiという機械でゲームをやったことのない人にゲームをしてもらいます、と言いました。その通りのことを実現しました。でも、その時には株価は上がらず、後で上がりました。

結局、結果なんですよ。

ですから、我々は結果を出すことを求められていると思っている。

IRや広報を通じて任天堂の未来を語るのが私の一つの役割で、そのことで世の中に説得力がないから株価がこうなんだ、という批判に対しては、真摯に受け止めたいと思います。

やるべきことをやっていますし、準備もしています。あとはどう結果を出すか、やっていることがどう結果を結び、任天堂の収益の数字となってどのように身を結ぶかを見つめていただき、我々は責任を果たしていきたい。
以上ですね。
先にお土産をチェックしてみましょう。
「ポケモンパズル缶 ビクティニ&レシラム・ゼクロム」「ゼルダの伝説 トランプ」とペットボトルのお茶。お茶は飲んじゃったけど。あと毎年お土産とは別にCSRレポートを出口で配布している。今回は珍しくマリオを表紙に持ってきていた。以前はこうしたことが無いので、ちょっと意外ではある。

どうでしたか、今回の任天堂の株主総会は?
まとめるのに疲れたよ...。
年に1度くらいはこれくらいやってくれないと...。
それにしても、良い話が続きましたな。最後の結局、結果なんですよ、の言葉には心打たれるものがありますな。
結果を出してきていた会社の人間だからこそ言える言葉ですね。
多くを端折って乗せている部分もあるが、その中に、ニンテンドーDSやWiiは最初には売れないのでは、という言われ方をしたという話があった。後知恵バイアスが掛かって、当時に売れると確信していた、という人がいるという話もしていた。
そんな話も...。
しかし、まこなこはニンテンドーDSが出る前にもWiiが出る前にも、しっかりと売れるのでは、と同人誌を通じて述べていたので、まこなこは後知恵バイアスなく売れると信じていたことは伝えておかねばならない。
なに突然言い出してるんだ、この人は...。
今回の株主総会の質問の中で、ダウンロード販売だと予約特典がもらえない、という質問の時、何度も岩田社長が質問を聞きながら頷いていたのが印象的。
後から発送というのはクラブニンテンドーを活用することでうまく行けるかもしれませんね。
他には、店頭での販売を促進するため、店頭に予約特典だけを送り、後は店頭でダウンロード購入した時に渡す、というのもありかと思ったりもした。自宅でダウンロード販売をするという人からすると面倒かもしれないが。店頭と絡めたダウンロード販売を行う任天堂プラットフォームだからこそできる売り方になるのでは。こうすれば、小売店のバックアップにもなるし、多少なりとも中古対策にもなるし。もちろん、パッケージ版にも予約特典は付けるという形でさ。
今後、各メーカーがどう動くか注目です。
あと、任天堂はネットワークを通じてソフトを売っていくために使うと述べているが、スクウェアエニックスの和田洋一は逆にソフトの売れる数は少なくなるが、ダウンロードコンテンツで長く遊んでもらう方向で収益化するという話をしている。両社の違いが鮮明で面白い。別にどちらが良いとか悪いとかではなくね。
いろいろと考えさせられる株主総会ですね。
今回はどちらかというとゲームユーザーがしたと思われる質問が多かった。比較的若い年齢層の人が質問していた。そうした人の方が、質問を長々と述べずに簡潔に伝えていたりと、質問する方法も適切だった。逆に、年配の人の方が、なんだかよくわからない要求をしたりと、トンチンカンな話も多いように感じる。
いくつか面白い質問もありましたね。
さすがに召集令状の部分では多くの人が笑っていたが。かなり年配の人の声だったので、戦争時代の話かと思ったりも。
......。
あと、1点、twitterで9月にWiiUの発売日等の発表があると言ってしまったのだが、秋の間違いでした。大変失礼しました。
ったく...。
株主総会の質問の中で展示会について述べていましたが、こちらはどうでしたか?
単にニンテンドー3DS LLが置いてあり、同じくニンテンドー3DSも置いてあり、比較しながら、2分ほどの映像を眺めて終了。ゲーム画像などではなく、どちらかというと環境系の映像だった。重さは当然重くなっていて、ニンテンドー3DSと比べると明らかに重く感じる。あとは、その重さをどの程度許容するかは人それぞれ。あと、スタートボタンやHOMEボタン、セレクトボタンは押しやすくなっている。これらのボタンを使うゲームにとってはありがたいのでは。画面が大きくなっているというのは当たり前の話なので、おいておいて。あとは右側に棒を入れる場所がついている。通常のニンテンドー3DSでは上側と、そうした細かい違いもある。大きい画面でゲームをしたいのであれば、買うと良いだろう。持ち歩きという点では、やはり現行のニンテンドー3DSの方が優れているだろうけどね。
7月28日に発売されますね。
WiiUの展示は、触ることも出来ず、透明な箱に入っての展示だったので、何ともいえず。ただ、コントローラーは大きいな、と。あとは重さがどうなるかだが。後ろにグリップがついているので、持ちやすさという点では問題ないのだろうが。人によって扱い方が異なるだけに、この点も問題かと。
今後の体験会などに注目です。
あと、いくつかお土産画像を。まずは任天堂の新社屋の建築状況から。くい打ち工事中だ。地下を掘っている感じだろうか。本社は近鉄の九条駅側にあるので、もしかしたら近鉄からいくと、すぐに入口とかあるのだろうか。交通の便は烏丸線の方がいいのだろうけど。日照権などの関係もあるかもしれない。まあ、いずれにしろ、まだまだ、ということで。来年、どれくらい出来上がっているのか楽しみだ。







ふむ。
あと、おまけとして、今回、京都大学病院の積貞棟も見てきた。これは、任天堂前社長の山内溥氏が寄付をして出来た病院の建物。傍からみれば単なる病室でしかないが、任天堂絡みということで。本当は去年行きたかったけど、行き忘れたので。こういった形で地元に協力するのは京都らしい行為なんだろうな、などと思いつつ。今回の任天堂株主総会のお話を終えようと思う。



直近、直後の話題

1つ過去の話題:ソニー株主総会2012年
1つ新しい話題:テイルズオブエクシリア2の発売日等発表、ネットオリジナル限定版の予約がスタート

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『任天堂株主総会2012年』へのコメント

この記事続編があるのか だったら分けろ

投稿者 : 匿名

まーた某ブログがまこなこを晒して露骨なコメ稼ぎしとるなぁ

投稿者 : 匿名

株主総会に参加したものです
もう記事になっていることにビックリしました
これからも頑張っていただきたい

投稿者 : 匿名

以下続くとかいってるが残りの内容早よ上げろや

投稿者 : 匿名

なげーw
でも分かりやすかった。お疲れ

投稿者 : 匿名

神のお言葉に心打たれるまこなこワロタ

投稿者 : 匿名

お前一回脳外科に診てもらった方がいいんじゃねえか?

投稿者 : 匿名

何はともあれおつかれさまでした

投稿者 : 匿名

お疲れさん

投稿者 : 匿名

株価が半減してる被害者について言及しないの

投稿者 : 匿名

株ってのは上がったり下がったりする事を承知で買うもんなんですよ。
一日で株価が半分になった訳では無いし…下がりはじめたら持ってる株を売り抜くのが基本。
売らずにボーッと1年も保有してたら半分になったと思うけど…それはそいつが馬鹿なだけだろう。
あと株は上がってる銘柄を買うのが基本…割安株と自分で思っても下がってるのであれば買わないのが基本

投稿者 : 匿名

愛してる人たちは思ってたより凄いなw
10分で良いから俺の提案を聞けってのも凄い

投稿者 : 匿名

>投稿者 匿名 : 2012年6月29日 10:28
多分そういうことじゃなくて、ソニーの株主総会記事では被害者が増えたと言ってたのに任天堂の記事では言わなかったから気になったんじゃないの

投稿者 : 匿名

これがステマというやつか

いや、信仰心なのかもしれんし
もしくはその両方か

投稿者 : 匿名

なにいってんだ、8人目・・・・

投稿者 : 匿名

株価とかいったら、10年前にソニー株持ってた人は大惨事ではすまないよ。DS、wiiの尋常じゃない株価に陰りが出た時に売らなかった奴が無能。

愛してる人は、心中してもいいくらいの純投資なんかね。

投稿者 : 匿名

儲け目的で任天堂の株買うのは間違いだよ。
社長自身が、成功か失敗のどちらかしかないリスキーな産業といっているし。
成功しても、投資、回収、衰退の繰り返しで業績にも波がある。

投稿者 : 匿名

任天堂に限らず、儲け目的ならゲーム会社の株を買うなってのは正論だな。娯楽産業は当たればデカイがリスクも大きい山師みたいな業界。

投稿者 : 匿名

ゲーム会社の株は基本好きだから買うべきだね。

但し、日本一ソフトウェアはギャンブル性があるので稼ぎたいという人はやってみればいいんじゃないかな?

投稿者 : 匿名

任天堂株で大損したんでしょ、この人
記事の内容が偏るから判りやすい

投稿者 : 匿名

うーん・・・
戸田建設か・・・
なんでスーパゼネコンに発注しなかったのか

投稿者 : 匿名