書籍「ゲーム業界の歩き方」、ゲーム好きから就職を考えている人、現在働いている人すべてにお薦めの良著

2009年11月21日:書籍「ゲーム業界の歩き方」、ゲーム好きから就職を考えている人、現在働いている人すべてにお薦めの良著
そんなわけで、ここ数日にわたってさまざまな社長の発言をお伝えしてきましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
どんな挨拶ですか、それは…。
これらの紹介してきた発言は、11月上旬に発売された「ゲーム業界の歩き方」という本から引用、もしくは参考にさせていただいたものとなっている。
元ネタがあったんですね!?
さすがに人の発言を捏造するわけにはいかないだろ…。
バンダイナムコゲームスの鵜之澤伸社長の件はどうなんですか…。
ちゃんと意訳って書いただろうに。
そういうのを捏造というのでは?
おいおい、週刊ファミ通なんかと同列に扱わないでくれよ。
……。
そういう話は置いておいて、今回紹介するのが「ゲーム業界の歩き方」という本。先に述べたように、さまざまな会社の社長や、ゲーム開発者などのインタビュー記事が掲載されている。
話が掲載されている方は有名なところで次のようになっていますね。

任天堂 社長 岩田聡
カプコン 常務執行役員 稲船敬二
ソニーコンピュータエンタテインメントジャパン シニア・バイス・プレシデント 桐田富和
エレクトロニックアーツスポーツ プレシデント ピーター・ムーア
コーエー 社長 松原健二
セガ R&Dクリエイティブオフィサー 名越稔洋
スクウェアエニックスホールティングス 社長 和田洋一
バンダイナムコゲームス 社長 鵜之澤伸

凄い顔ぶれですね。
正直、ここまでの人物に関するインタビューを一つの書籍でやってのけただけでも素晴らしいものがある。
掲載はインタビュー記事だけですか?
いや、インタビューで150ページ近く使っているけど、そのほかに、ゲーム業界の仕事内容に関しても触れている。特徴的なのは、ゲーム開発ではなく、そのほかの部門を専門に紹介している点。宣伝、広報、法務、営業、ライセンス担当、渉外関係など。開発に絡む話もあるけど、どちらかというとそうではない。あとは、ゲーム業界の構造などに関しても取り上げている。
なぜ、そのような話が掲載されているのでしょうか?
この本、一応就職活動者向けの本のようなんだ。で、ゲーム業界というと開発部門のイメージが強いと思うけど、当然先に述べたような職種もあるわけで。そうした部分にスポットを当てているというのがこの本の特徴となる。
それは面白そうですね。
で、ただ単に就職関連本と捉えるべきかというとそうでもなく。特に先に述べた各会社の社長レベルの人の話などは、業界の先を見る上で参考になるだけでなく、ゲーム会社に限らず、働く、ということに対する位置づけなどを再認識する上でも役に立つ内容となっている。
なるほど。
次世代機がどうだとか、新作ソフトがどうだとかいう話は無いけど、少なくともゲーム業界周辺に興味があるのであれば、就職の有無に限らず一読してもらいたいし、一応は成功したと思える人物たちの話は、それだけでタメになるので、ゲームに多少の知識があるだけでも読んでみてもらいたいものだ。
そうした中で、ここ数日紹介してきた発言などがあるわけですね。
せっかくだから、ネタばらしでもしておきますかな。
ネタだったんですね…。
いや、言っていたことは事実なんだけどね。
まず、11月17日掲載の『スクウェアエニックス社長和田洋一曰く「野村は完全実力主義」』についてですが、これはどういう発言だったのでしょうか?
野村というとファイナルファンタジーシリーズなどに関わっている野村哲也を想像した人が多かったと思うが、ここでは和田洋一が以前勤めていた野村証券のことですな。
そういう勘違いをされることを狙っていましたよね…。
……。
ったく。
結構タメになる話が続くので、その続きも紹介しておこう。

『野村は完全実力主義で、いい意味で非常に厳しい会社でしたから。学歴至上主義でもないので、東大であっても関係ない。しかも、信賞必罰の会社でしたから、年下の上司も珍しくなかった。努力をしていないと軽蔑されます。今はわかりませんが、私がいた頃の野村というのはそういう会社でした。』(「ゲーム業界の歩き方」より)

ふむ。
この発言のポイントは、努力をしていないと軽蔑されます、のところ。考えさせられる言葉ですな。
続いて11月18日『バンダイナムコゲームス社長鵜之澤伸意訳「クリエイターならバンナムで働くな!」』ですが。これは発言そのものではなく、意訳とのことですが、オリジナルの発言はどうなっているのでしょうか?
このようになっている。

『今は2、3人でゲームやアニメを自主制作できる時代ですから。いろいろな場所で実力を試してみてもいいでしょう。そういう努力を惜しんで、給料は欲しい、残業はしたくないんだけど好きなものを作りたい、っていうのは甘いんです。』(「ゲーム業界の歩き方」より)

全然意味が違うじゃないですか…。
そうか?作り手として自分の自由に作りたいのであれば、会社組織に属さず、まずは少人数でもやってみろという意味合いだから。そんなに意味は違わないだろ。私自身も前々から何度も、自らでやってみろと言っているように、やりもせずに文句ばかり言うなと。それで成功している人も多々いるんだからさ。
11月19日の『エレクトロニックアーツスポーツ社長ピーター・ムーア曰く「日本の会社のために働くのは難しい」』はどういう意味でしょうか?
これはたぶん、そのままの意味かと。
えっ!?
セガを辞めた時の話に出てきた。日本の会社の組織形態自体に嫌気をさしたのか、それとも当時のセガの状況から判断するに、沈みゆく船に乗ってられるか、という意味なのかは分からないけど。一応掲載されている文章をそのまま紹介しておく。

『でもあのときは、日に日に、日本の会社のために働くのは難しいなと思う気持ちが強くなってたんだよね。うまく説明するのは難しいけど。』(「ゲーム業界の歩き方」より)

日本人としては悲しいことですね。
最後に11月20日掲載の『任天堂社長岩田聡曰く「自分の作るものはそんなにウケない」』はどういう意味ですか?
次の部分の話だ。

『私は若い頃「なんで自分の作るものはそんなにウケないのに、宮本の作るものはあんなにウケるのかなぁ」って、随分考えていましたよ。悔しいから考えるんですよ、だって自分もウケたいんですもん。』(「ゲーム業界の歩き方」より)

ならば、宮本×岩田の同人誌でも。
その受けるじゃねえよ…。
こうしてみてきますと、いろいろな話が掲載されているんですね。
当然、ここで紹介した話はごくごく一部だ。先に述べた人だけで150ページものインタビューページとなっているからね。
インタビュー内容に特徴はあるのでしょうか?
一応就職者向けの本となっているので、働くことに関しての話が多い。なので、就職前の人も働くということはなんなのかを再認識するために読んでもらいたいし、今現在働いている人も、先に述べたように自分の立ち位置を再度確認するために読むのもよいだろう。下手な自己啓発本を読むよりかはタメになる。
なるほど。
最後に、読んでいった中で良い言葉だと思ったものをいくつか紹介して終わる。ぜひ、他の人も一度読んでもらえたらと。あまり文字が詰まっているような本でもないので、本を読むのが苦手な人でも読み進められるだろう。
では、良い言葉をお願いします。
『「もし、今の自分に満足できないのなら、自分でできる限りの努力をすればいい。オレはしたよ、だから今がある」というメッセージが要約されたピーターさんの人生は、これからももっと燃えるのだろうな、と思う。』(「ゲーム業界の歩き方」解説とあとがきより)

『今あなたが年収1000万円もらっていたとしましょう。どこかの転職コンサルに査定を依頼したら、市場価格で自分に2500万円ついたとします。(中略)現在の状況は、会社が私に成長のための機会を与えてくれている。だから、差額の1500万円分は、私が会社に授業料を払っているのだと。(中略)査定の差額に嬉々として「自分はこれだけもらえるはずだ」と会社を転々としても、結局何も残りませんよ。仕事ってそんなに甘くないので。腰を落ち着けてやらないと無理ですよ。(中略)本気で思っていました。いい台詞でしょ、オリジナルです。』(「ゲーム業界の歩き方」 和田洋一インタビューより)

画像

■ゲーム業界の歩き方

発売日:2009年11月7日
価格:1500円

※画像クリックでamazon.co.jpにて予約販売・購入可能

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『書籍「ゲーム業界の歩き方」、ゲーム好きから就職を考えている人、現在働いている人すべてにお薦めの良著』へのコメント

意味深な表紙だな。

散々階段上って、ゴールは遥か下とか・・・。

投稿者 : 匿名

書籍の内容などは別として、
ひきこもりでニート設定のキャラクターに
「働く、ということに対する位置づけなどを再認識する上でも役に立つ内容となっている」
なんて発言させても説得力がないと思いました。

投稿者 : 匿名

そういう発想が出来るななこがすごいw
だれに需要があるんだ

投稿者 : 匿名

同人誌のくだりで不覚にも笑ってしまいました。

投稿者 : Anonymous

このたびは、拙書「ゲーム業界の歩き方」をお取り上げくださいまして、ありがとうございました。毎度、業界のエグゼクティブを苦笑いさせているという、ウワサの「まこなこ」さんで、まさか拙書を何度もお取り上げいただけるとは思わず、大変ありがたい気持ちでいっぱいです。特に、スクウェア・エニックス社長の和田洋一さんのコメントをあのようにご紹介いただき、私も思わず苦笑いしてしまいました。(和田さん、本当に申し訳ございません・・・)

 それはさておき、「まこなこ」さんの書評は本当にありがたく読ませていただきました。そして、あの本ができましたのも、8人のエグゼクティブの皆さんをはじめ、関係各社の方々の温かいご協力のおかげです。この場をお借りして御礼を述べさせていただきます。本当にありがとうございました。

 寒い季節となりましたが、ゲーム業界で働くすべての人々とそのご家族、そしてゲーム業界で働きたいと思ってくださった就職活動期の学生の皆さん、また、ゲームソフトを愛してくださるすべての皆さんが、お健やかに過ごされるようお祈りします。

 そしてもちろん、もちろん「まこなこ」スタッフの皆さんも。・・・
(社長さんたちにも、たまにはやさしくしてあげてくださいね。みなさん結構センシティブですよって、これこそ、釈迦に説法でしたね。ごめんなさい)

 2009年11月24日
 感謝をこめて いしじまてるよ

*「まこなこ」の書評は、チンピラ部長がメールで教えてくれました。部長、いつもありがとう!

投稿者 : いしじまてるよ

>>投稿者 Anonymous : 2009年11月21日 19:18

お前今さらっとまこなこを全否定したような

投稿者 : 匿名