説得工学が無いPS3、ソニー創業者の井深大の発明した説得工学とは

2008年5月22日:説得工学が無いPS3、ソニー創業者の井深大の発明した説得工学とは
何でしょうか、これは?
日経産業新聞2008年5月20日に「ソニー井深氏の警句」というものが掲載された。
井深大さんはソニーの創業者ですね。「いぶかまさる」と読みます。盛田昭夫さんと共に、ソニーを立ち上げた方です。
その井深大さんがPS3について語ったわけですね。

■新型PS3 40GB クリアブラック

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価格:39980円

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……。
何かおかしなこと、言いましたか?
すでに1997年に享年89歳で逝去されています。
じゃあ、なんでタイトルで説得工学が無いPS3なんて言うんですか!!
誰もそれが井深大の発言とは一言も言っていないが…。
先に述べた新聞では、次のような記事が掲載されました。

『今年はソニー創業者、井深大氏の生誕百年にあたる。ソニーの社内報は五月号で井深語録を特集した。

「私は『説得工学』という言葉を発明したつもりなんだけど、自分がいいものに気がついたと思ったら納得するまでやって、上司も納得させなければならない。(中略)アイデアだけ出して独創性だ創造性だと言っても仕方がない」。家庭用ゲーム機「PS3」はひたすら高性能を追求した結果、分かりやすさを前面に押し出した任天堂に大きく先行された。PS3の仕様は果たして説得工学を満たしていただろうか。』(日経産業新聞2008年5月20日より)

引用文の中の中段の鍵括弧の部分が、井深大語録というわけだ。で、その後のPS3云々は記者の書いた発言となる。
ここで出てくる説得工学とは何なのでしょうか?
「工学」は、工業生産に関する学問のことだ。wikipediaでは次のように記載されている。

『科学、特に自然科学の蓄積を利用して、実用的で社会の利益となるような手法・技術を発見し、製品などを発明することを主な研究目的とする学問の総称である。』(wikipedia「工学」より)

そのようですね。
機械工学だとか、電子工学とかいろいろな分野があるけど、それに説得という文字をつけたのが説得工学だ。何かを成し遂げようとする時に障害となることに対して、説得を用いることで成果を得られるようにする、そのためにどうすべきか、といったところかな。
あなた自身、わかって言ってます?
実はさっぱり。
……。
偉い人の発言ということもあり、過去には関連した書籍が発売されている。今では新品で手に入れることはできないけど、興味がある人は中古でもいいので読んでみると良いだろう。
これがPS3とどう関係あるのですか?
PS3はユーザーに対してしっかりと説明できていなかったと記者は述べたいのだろう。実際、以前のSCEIの社長兼CEOだった久夛良木健は、エンターテインメントのための機器だ、とか言っていたわけだ。エンターテインメントとか言われても、一般人がピンとくるわけないよな。そこで、本来ならばしっかり説明するか、もしくはわかりやすい言葉を用いなければいけないのだが、それをしてこなかった。その点が、説得工学を満たしていなかったのでは、というわけだ。
なるほど。
で、初心に帰ったのか、最近ではソニーやSCEIのトップが「PS3はゲーム機です」と、頻繁に言うようになっている。これは、説得するための手段としてわかりやすい言葉でユーザーに語りかけてりるといえるだろう。
エンターテインメント機と言われるより、ゲーム機と言われた方が、イメージしやすいですね。
他のことができるのも良いのだが、全部をひっくるめて説明しようとするのは困難だ。そこまで真剣に興味を示す人は限られるのだから。だったら、メインを決めて知らせることが、一番理に適っているだろう。まあ、ゲーム機だけでなく、ブルーレイも見られるを付け加えても良いと思うが、そうするとソニー側のレコーダーの販売にも影響するので、まずは重複しない分野の「ゲーム機」を印象付けた方が良い 。
さすがに世界レベルの企業を育ててきた方の発言だけに、亡くなられた後も考えさせられるところが多いですね。
では、最後に、いくつか関連してそうな書籍を紹介しておこう。ちなみに、私もまだ読んでいないので、内容に関してオススメかどうかは言えないけど、社会人であるのなら、こういった本は常に読んでいきたいところだ。 気楽に手に入るのは「井深大語録」かな。文庫サイズで価格も安いので、電車通勤の合間にも読むことができるかと。この中には、たぶん説得工学に関する話も載っているのでは。

■井深大語録

発売日:1998年6月
価格:540円

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ふむ。
あと「コ・ファウンダーズ 井深大さんと盛田昭夫さん」には、説得工学に関して掲載されていることが目次から確認できているので、こちらも要チェックだ。

■コ・ファウンダーズ 井深大さんと盛田昭夫さん

発売日:2001年1月
価格:1575円

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amazon.co.jpにて「説得工学」で検索しますと一つだけ関連書籍が表示されますね。「説得工学 効果的な伝え方の技術」という本ですが、1983年に発売された本です。さすがに新品は手に入りませんが、数冊のみ中古で売られていますので、興味がある方は早めにチェックしましょう。

直近、直後の話題

1つ過去の話題:ナムコの成果主義、有能なゲーム開発者が報われない開発現場
1つ新しい話題:ブロッコリーの株主総会 第14期

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『説得工学が無いPS3、ソニー創業者の井深大の発明した説得工学とは』へのコメント

顧客にとっては、価格設定が最大の説得力を持つのかもしれません。

> 「ゲーム機」を印象付けた方が良い 。
最初から「ゲーム機」であることを主張し続けても、売れないゲーム機はあるわけで。

投稿者 : 匿名

先達の言葉は重みがありますね。まして今も存在している大企業の創業者の言葉であれば。もちろん今の企業のトップも良い事ことは言っていますが新聞記事だけじゃ伝わらないですね。
PS3もDSもPSPも使っていますが、PS3はBD・DVD用、DSは学習ソフト用、PSPは通勤時の音楽用です。単にゲーム機として機能しているのはDSだけ。高品質・多機能はわかりにくいんでしょうね。PSはソフトが少ないんで別機能がメインになってしまって。やはりゲームはソフト次第!

投稿者 : 匿名

カイジ語録という本がおすすめです。
「命を粗末にしろ」とか「世間はお前らの母親ではない」とか世間の心理をついた内容です。

投稿者 : いちたすには

PS3はゲーム機かエンターティメント機か?って、
1周廻って戻ってきたみたいな?
結局ゲーム機かw
だったら最初の価格設定は高すぎたね。

投稿者 : 匿名

ソニーの大根田伸行CFOの云うところでは
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「Wiiに対して、ヘッドトゥヘッドでコンピートする戦略はとっており ません」。ゲームの世界で勝負するのは変わらないが、PS3は高性能なセルプロセッサといった部分を活用し、たとえば「リアルタイムでオンラインをエン ジョイするカスタマー」を対象としている。数でWiiを追いかけようとはしていない。
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なんだそうです。

投稿者 : 匿名

説得工作よりも「ジョジョの『コーラン』事件」について一言欲しいです

投稿者 : 匿名

SCEの宣伝は本当に下手ですね・・・PS3の魅力の半分も伝え切れてない気がします
60G出荷停止の時に買いましたが、手に入れて初めて知る機能がほとんどでした
その点wiiは上手いですね。未だ買ってませんがw

投稿者 : 匿名

何でソニーに対しての辛口コメント辞めたんですか?

投稿者 : 匿名

語録がどうこうというよりあのでかさをなんとかせんと。売れんよ。極端な話任天堂から発売したとしても売れんよ。あの岩田社長でさえも。なんせ商品に魅力が全くない。もうあきらめようよ。もうポツダム宣言受け入れようよ。

投稿者 : 祝!サザン消滅

知識と知性でつかんだ直感を
「概念」で箱詰めして、誰かに説明できる。

「説得工学」もそうだと思います。
従来とは別の見方を見つけると、世界が広がって良いですね。

投稿者 : 匿名

これは全面的に同意せざるを得ない。
特にソニーは技術者やギーグしか共感/理解出来ない販売をする事が多いと思っていたので。
と言うか世界的に見ると日本は全般的にその傾向がありますね…。

逆に任天堂は「エスキモーに氷や冷蔵庫を売る」事が出来る企業だと痛感します。
最近はスクエニも技術志向からユニクロ志向に転向しそうなので、技術/コンテンツ立国なんて夢想するならば、作って満足を極めると同時に、説明する義務が発生するというグローバルで当たり前の思想を徹底する必要があると思う。

投稿者 : 匿名