カプコン社長の辻本春弘に言われ、タバコを止めるバンダイナムコゲームス副社長の鵜之澤伸、スクウェアエニックス社長の和田洋一

なんですか、この話は。

東京ゲームショウ2012で行われた基調講演で、CESAの会長であり、また、バンダイナムコゲームスの副社長である鵜之澤伸が講演を行った。その際の発言が興味深い。今回は、その一部で一番気に入ったところを取り上げる。

その気になったところとは？

タバコを止めた、って話。

雑談には興味ありませんよ。ゲームと全然関係ないじゃないですか...。

ところが関係あるんだよ。

次のような発言がありました。グローバルで打ち勝つ、という話の中での一幕です。

『3年くらい前ですかね。当社も含めて、私の会社も含めて海外に行くんだ、と言って、辻本さんから鵜之澤さんタバコ吸っているでしょ、和田さん鵜之澤さんタバコ吸っている、こんなやつはいけない、っていうんで、僕は止めました、タバコを。

なんと和田さんも、あのヘビースモーカーの和田さんも最近止めたんですけど、だけどなかなかタバコ止めたくらいじゃうまくいきませんでした。悲しいんですけど。』(東京ゲームショウ2012 基調講演 CESA会長鵜之澤伸 )

なんなんですか、この話は...。

実はこれが重要なんだよ。

重要！？

実は、その4年前ですが、2008年の東京ゲームショウの基調講演の際に、そう言われた場面がありました。詳しくは2008年10月11日『カプコンがスクウェアエニックスとバンダイナムコに一言「いや、あんたたち」「迷惑なんですよ」』をお読みください。

主な内容としては、海外市場での展開でカプコンが成功しているという話の中で、変化について取り上げた一幕です。話を聞きに行った鵜之澤伸さんに対し、いや、あんたたちタバコ吸ってるでしょ、と言い、海外での状況に合わせられないことに対する指摘を行ったというお話です。

その時の考えは『カプコンがスクウェアエニックスとバンダイナムコに一言「いや、あんたたち」「迷惑なんですよ」』で伝えているけど、まさか禁煙するとは思わなかった。これはこれですごいな、と。トップがこういう行動取ると、素晴らしいというかなんというか。

当時はバンダイナムコゲームスの副社長はどうでもいいとか言っていましたが。

いやいや、和田さんも鵜之澤さんも両方とも素晴らしい経営者です。

......。

単に禁煙したことがすごい、ということはもちろんあるのだが、その根底には今までの自らが持っていた価値観を変える、という大変な行為を伴うわけだ。

特に年配の人の場合、昔はタバコを吸うのがカッコいいというイメージを植え付けられていて、そしてなおかつ、ニコチンによる依存も絡み、なかなかタバコを止めるというのが困難な世代でもある。ヘビースモーカーであればなおさらだ。それを止めるということは、変化を受け入れ、新たな道を歩む体制を整えた、と捉えることが出来る。

言い訳して吸い続けるような人が多い中、まさかゲーム業界のトップ2名があっさりと禁煙することになるとは。

最近のバンダイナムコゲームスの勢いはすごいものがあります。もしかしたら禁煙による変化への意識改革がゲーム事業の方にも表れているのかもしれません。

多くの人からすればどうでもいい話のようでいて、4年前の話の解が出たようで、かなり興味深い話だったよ。

でも、結局海外展開はうまくいっていなかったような...。

止めた時期が遅かったんでしょ。すでにプロジェクトが動いた後の話だし。その後、ご存じの通り、バンダイナムコゲームスは北米を狙ったソフトが複数失敗し、バンダイナムコの業績悪化の原因となった。しかし、最近は順調に業績を回復し、今に至る。

トップの意識改革だけで会社が大きく変わるとは思わないが、時代の流れが早い中ではトップが駄目であれば会社も急速に駄目になっていく。たかが禁煙だが、意外にも大きな意味を持つかと。

今現在タバコを吸っている人も、今一度一考してみてはどうだろうか。メリットがゼロのものを吸い続けてお金を浪費し続ける必要もない。タバコから抜け出たい人のために、お薦め本として「禁煙セラピー」をお薦めしておく。