任天堂株主総会2015年

任天堂の株主総会が行われたので紹介しようと思う。

任天堂は京都の開発棟で株主総会が行われたようですね。

まずは、概要からお願いします。

10時スタートで開始時点で300人くらい。

スライドが各所に出ていたのだが、その周りに囲いがしてあった。

去年は、囲いも何もなかったので、多くの人が頭をぶつけていたことに対する配慮だろう。

そんな細かいところを見ていかなくても・・・。

6分からスライドで業績説明。

そして、10時20分から質疑応答となる。いつもは30分から質疑応答だったので、10分ほど早くなっている。

今年は、後でも述べるけど、終了もいつもより20分早く終わっている。

回答の多くは岩田聡社長が、一部宮本茂氏が行っている。

株主「ダウンロード版ソフトはなぜ高いのか。」

岩田「ダウンロード版への考えとして、任天堂はソフトはダウンロード、パッケージを問わず、同じ価値を持つべきだと思っている。

ダウンロード版の価格を下げるポリシーの会社もある。

ニンテンドーeショップでは基本的に価格差は生じない。

では、なぜ、小売店で価格差が生じるのかだが、パッケージとダウンロード版ではビジネスモデルが違う。

小売りはパッケージ版の場合は発注した段階でリスクが発生する。ダウンロード版はお客がレジで購入時に仕入れと支払いが生じる。

こうした在庫リスクに対する違いがあるため、マージンに差を設けている。最終的にいくらで売るかは小売店が決めること。

ダウンロード版が高くて気分的な不快感に対しては、新しいメンバーシップサービスで、客単位で提案できる仕組みを作ろうとしている。秋以降説明できると思う。」

株主「わが社の単位株数を減らせないのか。」

岩田「制約がある。東証では単位を100株から変更できないようになった。単位株数を100株から変えられない。

株主分割は、任天堂株のプレミアム感が無くなるのでは、という反対株主の意見もある。

賛否両論あるが、慎重に検討した上で結論を出したい。」

株主「わが社が。3DS、Wiiの立ち上がりに失敗している。3DSは立て直したが、WiiUはそうなっていない。NXで、この点への取り組みは。サードとの支援関係は。」

岩田「3DSは国内ではなんとか立て直すことができた。WiiUはうまくいっていない。普及規模がDS、Wiiからみて見劣りしている。

DSの時も最初から普及したわけではなく、ニンテンドックス、脳トレを提案してたくさんの人に支持してもらった。

100%初期からうまくいっているのはWiiくらい。

WiiUはもっともうまくいっていない。

NXの次の情報は2016年になってから。

前世代の反省を活かし、任天堂らしい答えをNXで出す。

サードは普及台数は今後の普及の予想で動く。

E3で、コラボレーションは水面下で進行している。」

株主「NOAがシアトルマリナーズの筆頭株主。ランディ・ジョンソンの背番号51が永久欠番になる権利を得た。イチローの51番とかぶるが、何か検討したのか、考えがあるのか。」

岩田「シアトルマリナーズの株を持った経緯は前の社長の山内が個人で出資した株を持っていた。山内は、自分は人間である以上、いつかはいなくなるのだから準備をしよう、ということで対応した。

任天堂のCEOが51番をどうするか決めることはできない。マリナーズには複数のオーナーがいて、協議をしなければいけない。

個人的にもイチロー会い、応援しており、関係を大事にしたい。

公の立場でどちらを優先するかを語るのは適切ではないし、今日の総会の決議ができなくなることもない。」

株主「京阪鳥羽街道駅にある任天堂の跡地の利用はどうなっているのか。」

岩田「マリオクラブで活用。当社の製品デバッグをしている。

電波が通らないようなシールドルームを作ったりもしている。

空いているスペースを今後、どう使っていくかは現時点では何も決まっていない。」

株主「E3について、ソフトタイトルが少ない。年内発売タイトルに絞った理由と今後の予定は。」

宮本「一部事実。インターネットの普及で世界中に広がっている。アメリカのショーではなく、全体としてショーに取り組む対応をしている。

E3の原点はアメリカのビジネスショー。

年によってはもっと先のソフトを紹介することもあるが、今年は今年のソフトを発表した。

デジタルイベントでは年内のソフトに絞った。ライセンシータイトルもなかった。

来年の近い時期の物しか紹介していない。

ショーフロアでは、任天堂らしいと評価を頂けた。

ソニーさん、マイクロフトさんの展示は、今年以外にも、来年、再来年、発売未定のソフトが多く、触って遊べないものがたくさんあった。

VRもどんな形で売られるかわからない、夢の展示として並んでいた。

映像デモが多い中で、任天堂はフロアで遊んでもらい、リビングで遊んでもらうゲーム機として評価をいただけた。

報道や、マスコミのライターも評価してコメントしてくれた。」

岩田「日本の任天堂の熱心なファンが失望したのは知っている。

一方、E3はアメリカのトレードショー。

任天堂ブースは他社と毛色が違い、ニコニコしてもらえる。ゲームを触って楽しんでいる。他社は映像を見ているだけが多いという大きな違いがある。

記者発表会をやらずに、デジタルイベントをしたが、その前にスマブラの新発表やゲーム大会をやった。会場はものすごく盛り上がった。

ネット中継の不満は真摯に受け止め、来年以降改善していく。

E3全体で不評だったのかというと、流通、メディアの評価はそうじゃなかった。

今の話をするか、先の話をするかは、年ごとにテーマが変わる。」

株主「NXとWiiUのすみわけは。WiiUにゲームは出続けるのか。」

岩田「NXについて具体的な話をするわけにはいかない。

話すと他社が対応策やアイディアの取り込みをするかもしれないし、客が驚きを感じなくなる。

新しいのが出てすぐにWiiU、ニンテンドー3DSのソフトが出ないというのはビジネス上効率が悪い。

NXの準備をしつつ、WiiU、3DSのソフトをどう作り続けていくかは、ソフトメーカーも含め、相談していく。心配がすぐに起こることはない。」

株主「スマホは売り切りか、アイテム課金か。ターゲット層は。」

岩田「スマートデバイス向けに有名キャラ、シリーズを使って出せば成功するというものではない。

どう存在感を出すか問われている。

課金方式や、ターゲット層について。

アイテム課金はフリートゥープレイと言われるが、ゲームというもの価値を高く維持したいと考えているので、フリートゥースタートと言いたい。

スマホの売り切りはあまりうまくいっていない。安価で競争相手も多いため。

払い切りだけにはすべきでない。

フリートゥースタートで、一部は社会問題になっている。

任天堂はスマホ向けに作る際には幅広い年齢層、ゲーム歴が長い人から初心者も性別文化、国籍、言語問わず、楽しんでもらいたい。

世界を見ると、日本のような例は少ない。海外は幅広く、ちょっとずつ払ってくれるような形での成功が多い。

日本のようなものが、世界で受け入れられるとは思っていない。簡単ではないが、世界でヒットを複数作りたい。

年内から来年まで複数あるが、多作は考えていない。スマホは開発が終わらない。日々進化しないとお客さんが楽しめない。少数の物を育てていきたい。」

いつものおっちゃん「ゲームキャラクターの顔が自分の顔にならないか。任天堂キャラクターの食パンやラーメンが無い。お菓子などはよく見る。

ユニクロに任天堂のキャラを載せたり、靴に載れば、私のようなおっちゃんでも買います。」

岩田「Wiiの開発終盤にMiiという機能が入った。あるレベルまでは要望を果たしている。

マリオにMiiの顔を当てはめてもうまくはいかない。Miiがもう一段進歩した時にどういったものができるか考えていきたい。

ライセンス商品は多ければいいのか、という問題がある。

クオリティコントロールできるのかどうか。

魅力を長期に高めていく。積極的にやるが、利益のためでなく、価値を上げるためにやっていく。」

株主「自社株式の保有について、比率が高いのではないか。活用は。」

岩田「多すぎるというのは事実。自社株買いをやった後、多くなった。社内で議論した。

ファミコンから32年目、ここ2、3年、転換期を迎えている。要因はネット、スマホ、マーケティング、お客の行動の変化。

変化に対応しなければいけない時期。

DeNAとの業務提携があるので、3月時点より減っているが、まだ多い。

ここ数年は多めに持たせてほしい。

今後、変化を乗り越え、成果を出せた以降はフェーズが変わる。償却も含め、検討をする。」

株主「キャラクターフィギュアを大々的にするつもりはないのか。ポケットモンスターのフィギュアなら世界的に売れるのでは。」

岩田「ワールドワイドで見て、何が重要かを考えて、キャラクタービジネスを考えている。

短期で大ヒットしたが、ブームが終わり、在庫の山ということも少なくない。

それでは企業価値を上昇ということにならない。

長期の価値を高めるためにやっていく。」

株主「スプラトゥーン、100万本、お喜び申し上げます。

バーチャルコンソールの売り上げ規模を聞きたい。

また、昔のソフトはいつでも買えるようにしてほしい。」

スプラトゥーンの動画をなぜか紹介。

岩田「発売から1ヶ月間で100万本達成できるとは、それほど楽観的に考えていなかった。

ダウンロード関連は313億円。前期から30%増えている。

VCのみの売り上げの規模は個別に開示していない。あれもこれもとキリがなくなるので。

VCは元のソフトを基に作っているが、簡単に作れるかというと、テストをしたり、今の基準で不適切なものが無いかチェックするなど、手作業のところもある。

ペースの遅さの意見を頂くが、過去作だけだと新作を作れないので、人員をうまく振り分けてやっていく。

新しいプラットフォームが出来た時に少ししかVCが出来ないということが無いように、 システム面での開発も大きなテーマ。

全部のソフトが出せないかだが、任天堂は、少数の例外を除き、出せる。

他社さんは版権の許諾が必要な場合は、今の仕組みで適用できない。サードが新たに権利交渉してもらわないとできない。

要望があるけど、配信できないタイトルがあることがご理解ください。」

以上ですね。

11時40分に質疑応答終了。1時間20分の質問時間。

そして、議案の採決後、11時42分にすべて終了。

お土産は何ですか?

「スーパーマリオタオル」と、「ポケットモンスター フェイスシェイプクッキー」毎年恒例の「CSRレポート」は欲しい人が持ち帰る方式。

あとは、お茶の辻利のペットボトル。

今年の株主総会はどうでしたか?

いつもより、かなりスピードが早く展開。

最初の報告事項も20分で終わり、質問時間もいつもは1時間30分とるところを1時間20分で打ち切り。

たぶん、岩田社長の体調に絡むことなのだろう。

株主総会中も、どうやら椅子に座っていたようで、最後のあいさつの時にいきなり檀上で大きく身長が伸びた時に、少しびっくりした。

後々考えると、最初から座っていたので、立っていると思っていた錯覚で違和感があったのかと。

個別の質問で説明とかありますか?

2人目の株主の、わが社は、という言い方。

これは以前も伝えたかもしれないけど、これが本来は正しい言い方なんだよね。

貴社とか、御社とかは間違い。

株主も、会社の内側の人間だから。

で、それを真似て3人目が私もわが社と言わせていただきます、とか言っててなんか、恥ずかしかった。

いいじゃないですか・・・。

マリナーズの話は、今回の株主総会で一番ゴミみたいな質問。

この質問の時に、株主の中には、くだらない質問しやがって、と吐き捨てながら、帰って行ったのを見た。

それくらい、酷い質問。

これ以外は、妥当な質問なのだが、これは本当に酷い。

しかも、質問者の名前がイワタという。

イワタが岩田に変な質問をした株主総会として、今後長く語り継いでいかなければいけない。

語り継がないでください・・・。

京阪鳥羽街道駅絡みは、どちらかというと地域振興的なイメージで質問している。以前は廃線の可能性もあったので、任天堂があり、人の往来があることで廃線も免れるのでは、というね。

E3絡みはなぜか岩田、宮本両名が他社を批判的に言っていて笑えた。

いつものおっちゃんは、いつものおっちゃんで、いつものおっちゃんレベルの質問をして終了。

最後の質問で「スプラトゥーン」のタイトル名が出てすぐに、岩田社長はスライドで「スプラトゥーン」のTVCM映像を用意。

しかし、質問してくれなかったので、強引に話をつなげてTVCMを流しつつ「スプラトゥーン」の説明をしていたのが微笑ましかった。

と、こんなところかな。

「NX」については話せない、と言われても、再びNXの話を聞こうとする辺りは好ましくないけど、それだけ注目のものでもあるので仕方ないのかと。

会場の様子はどうでしたか?

後ろから見ていて、前の方に任天堂ファン株主が固まっていて笑えた。

前は任天堂ファン派、後ろは普通の株主派でエリアを塗りあったような感じになっていた。

質問を受け付けるときに、やたらと前だけ手が上がっていて、パワーを感じたというかなんというか。

最後まで指されなかった人が20人近くはいたので、残念だっただろう。

マリナーズの話さえなければ、もう1人は指されたのだろうが・・・。

・・・・・・。

でも、全体的に株主総会としては良いと思う。

とはいえ、のらりくらりと交わされ、いろいろな核心を突く質問が無かったようにも思う。

普通の株主総会になったとでも言おうか。

昨年、岩田社長が居なくてフリーダムな感じで、別の株主が怒り出したとかあったので、そういう点でも普通だった。

まあ、株価が上がっているうちは株主は静かなので、後はゲームファン株主が度を超えたくだらない質問をしない限りは、これでいいのでは。

と、いうことで、任天堂株主総会2015年の話を終える。

直近、直後の話題

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1つ新しい話題:ゲームメーカー株主総会総評2015年

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投稿がありましたので紹介します。 『もうご存知かと思いますが、任天堂の岩田聡社... 続きを読む

『任天堂株主総会2015年』へのコメント

え、いや、誰もQoLについて聞かなかったの?
それってちょっと気持ち悪くないですか?

投稿者 : 匿名

amiiboの話なかったの?
みんな興味ないんですかね。

投稿者 : 匿名

 私も去年、今年と株主総会行きました。

 今回出された質問は概ね妥当とのことでしたが、まこなこさんだったら
どのような質問をするつもりだったのか知りたいです。

 今年はこういう質問をするべきだったのではという考えがありましたら
お聞かせください。

 去年、他の方々の質問の内容に怒り出した株主が確かにいましたね。
ですが「経営に関する質問をしろ」と怒っていた本人は結局経営に関する
質問をしないままでした。「質問は一人一つ」の原則を守ったとも取れますが、
私には非常に説得力を欠いていたという印象が残りました。
 論より証拠で「これが株主総会にふさわしい質問だ」というのを自分が出せば
良かったのにと思いました。

投稿者 : KSNK

総会お疲れ様でした
私も毎年出席しています
株主として必要な情報はすべて開示しているので
正直出席する意味があんまりないですが
ネットでの風評対策について誰か聞いて欲しかったなぁ

投稿者 : 匿名

任天堂らしい評価を得た、か・・・。
向こうの人がそう言ってるなら皮肉なのか好印象なのかわかりませな。
しかし任天堂はVRには現状消極的なんだねVBを出した経験もあるんだろうけど
いつもの独自路線が吉と出るか凶出るか・・・。

投稿者 : 名無し

ていうか毎度のことだが
任天堂の株主総会はファン株主達が邪魔をしてるようにしか見えない

任天堂的にもファン株主達を相手にしてたほうが厳しい質問をされなくて済むという意識があるだろうし

投稿者 : 匿名

もっともうまくいってないのはWIIUではなく
NEW3DSですよ
なんであんなの出したのか

投稿者 : 匿名

>投稿者 : 匿名 2015年6月26日 20:50

ネットの風評被害の件は過去の株主総会の質疑応答で出ている
IRを穿り返せば見つかるかと

投稿者 : 匿名

>投稿者 : 匿名 2015年6月27日 21:21
その総会にでていましたが
3DSについだったとおもいます
ちょうど3DSの立ち上げは失敗したといってた方がいましたので
NX、スマホの立ち上げに関してからめて話をしてほしかったということです
実際ほったらかしですし

投稿者 : 匿名

その前の方にいて、
WiiUのアカウント個別引っ越しについてDeNAと作ってる新システムで出来るようになるか聞きたかったんですが、場所悪かったですわw

投稿者 : 匿名